吾輩の部屋である

吾輩の部屋である

田岡りきの初連載作品。都内にあるアパート「ヒノデ荘」を舞台に、鍵山哲郎が日常のさまざまな出来事に思いを巡らせる姿を描いた哲学系シュールコメディ。小学館「ゲッサン」2015年5月号から2018年3月号まで連載。2017年9月にテレビドラマ化され、日本テレビ系列にて放送。鍵山を菊池風磨、カバの置物を林家木久扇、カエルの置物を増田明美、炊飯器を賀来千香子が演じている。

正式名称
吾輩の部屋である
ふりがな
わがはいのへやである
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
日常
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1Kアパートの部屋で繰り広げられる日常

本作の舞台となる鍵山が住むアパートは、駅から徒歩5分、築41年の木造2階建てで、風呂トイレ別の家賃4.8万円。この部屋以外に、ほかの場所はほとんど描かれない。さらに、鍵山以外のキャラクターはいっさい登場せず、物語は鍵山の独り言や部屋の中での行動、そして彼にツッコミを入れる家具の心の声のみで進行する。また、鍵山の知人から「これから部屋を訪れる」というメールが届くこともあるが、必ず直前に相手の予定が入ってしまい、実際に部屋を訪れることはない。

鍵山の考察日和

本作は基本的に1話完結型で、鍵山が一つのテーマについて思考を巡らせ、彼なりの答えを見出すというパターンで物語が展開される。その思考の内容は、流し台の吸盤の使い方やインスタントラーメンの美味しい食べ方など、傍から見ると些細なことが多い。そして、これらの考察がそのまま話のタイトルになることもある。鍵山は豊かな想像力と集中力で、些細な事柄に対してポジティブに向き合い、徹底的に考え続ける。その結果、独自の解決策を見出したり、予想外の大きな問題に直面したりと、各話ごとに異なるオチへとつながっていく。

鍵山の言葉が織り成す人間模様

本作は主人公の鍵山のみが登場する構成となっており、彼の家族や研究室の教授、同級生たちのパーソナリティーは、鍵山の独り言を通じて詳細に語られる。同級生の植村は、生真面目で優しい性格の女子で、鍵山から好意を寄せられている。もう一人の同級生である吉田は、高校時代からの友人の男子だが、いつも一言多く、メールが届くたびに鍵山からツッコミを受けている。彼らとの交流は鍵山自身の言葉を通じて明らかになるが、作中では鍵山の部屋を訪れることはなく、メールや電話でのやり取りに終始している。また、コミックスのカバーには鍵山と同じ大学院に通う学生たちのプロフィールが掲載され、彼らの姿はシルエットのみで描かれている。

登場人物・キャラクター

鍵山 哲郎 (かぎやま てつろう)

とある大学院の工学部河川工学科に在籍する1年生の男子。両親と姉がいるが、現在は「ヒノデ荘」というアパートで一人暮らしをしている。思い立ったらすぐに行動に移すタイプで、片思いの相手、植村に関することは最優先で実行しようとする。想像力が豊かでポジティブな性格の持ち主で、一人で延々と物事を考えた結果、新たな発見をすることが多い。しかし、自分にとって都合の悪いことは理由をつけて後回しにする悪癖を持つ。また、自信過剰な一面やレポートの提出が遅れても平然としている不まじめさが目立つため、担当教授からの印象はあまりよくない。部屋の家具が意思を持っていると感じることがあり、それらのつぶやきに対して返事をすることもある。

家具 (かぐ)

鍵山の部屋には、炊飯器や食器、照明、目覚まし時計といった日用品から、カバやカエルを模したシュールな置物まで、さまざまな家具がそろっている。これらの家具は、なぜか鍵山にだけ聞こえる「独り言」をつぶやく。鍵山の思考が自己中心的だと感じたり、行動が性急すぎると判断すると、辛辣なツッコミを入れる。しかし、和式便所のように、鍵山の考えを肯定的に評価する家具も存在する。

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