ワールド イズ ダンシング

ワールド イズ ダンシング

『はじめアルゴリズム』に次ぐ、三原和人の連載作品。14世紀後半、室町時代初期の日本が舞台。著名な猿楽師の観阿弥の息子として生まれ、なぜ舞う必要があるのかわからないまま、とりあえず舞台に立つ美少年、鬼夜叉(世阿弥)が主人公。のちに能楽を大成することになる世阿弥の少年時代を描いた歴史フィクション。講談社「モーニング」2021年17号から2022年48号まで連載。

正式名称
ワールド イズ ダンシング
ふりがな
わーるど いず だんしんぐ
作者
ジャンル
歌舞伎・能・狂言
 
その他歴史・時代
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊6巻
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史実をベースに、少年、鬼夜叉の成長を描く

本作の舞台となるのは、14世紀後半、京と吉野に二つの朝廷が存在していた南北朝時代(室町時代初期)。政治が混乱した一方、文化面では変革・発展が起こった時期でもある。主人公の鬼夜叉(世阿弥)の父で人気の猿楽師、観阿弥は、「猿楽はまだ未完成」だという。遠い昔から伝えられた猿楽に「加えたり省いたりして問い直す」という作業を繰り返しているのだ。その言葉通り、鬼夜叉は、様々な人との出会いや出来事を通じて、自分の「舞」を見つけていく。本作は、時の将軍、足利義満をはじめとする実在人物や、1375年に催された新熊野神社奉納猿楽など、史実をベースに、少年、鬼夜叉の気づきと成長をコミカルかつ瑞々しく描いたフィクションである。

世阿弥の実際のキャラクターは?

本作は、のちに父の観阿弥とともに能楽を大成する実在人物、世阿弥が鬼夜叉と名乗っていた頃の物語。人気の猿楽師、観阿弥の息子に生まれた、ぼーっとした少年、鬼夜叉は、舞の意味や必要性が理解できないまま舞台に立たされていた。しかしある日、体を売って生活する女性の、「白拍子」と呼ばれる歌舞を偶然目にしたことから、芸の「よさ」に気づく。さらに、その女性の死に際し「舞」の必然性・有用性を感じ、芸能に没頭していくことになる。作中の鬼夜叉は小柄な美少年で、ひとつのことに夢中になると、周りが見えなくなる天然不思議キャラである。単行本3巻掲載の、清水克之(本作の監修者で歴史学者)による巻末コラムによれば、複数の古文書に書かれている鬼夜叉は「ぼーっとしていて愛らしい」「小柄で敏捷」「頭が柔らかく笑いのセンスもある」であり、作中の鬼夜叉は「そんなに史実とは離れていないように思う」としている。

立ちはだかるライバルたち

新熊野神社での猿楽能をきっかけに、観阿弥が率いる観世座は将軍義満のお抱えとなった。そして、鬼夜叉は座を離れ、義満のもとに仕えることになる。そこで鬼夜叉は、同じく将軍お抱えの田楽の一座、田楽新座に所属する、同世代の少年、増次郎と出会う。はじめは友好的な増次郎だったが、ひょんなことから鬼夜叉と舞競べをすることになり、冷酷な一面を見せるようになる。田楽新座と観世座を背負って立つ二人は、ライバルとして競い合う。また物語序盤、鬼夜叉が悩むたびに現れ、ヒントをくれていた謎の男は、将軍お抱えの近江猿楽日吉座の看板役者、犬王だと判明。物語終盤、鬼夜叉の前に立ちはだかり、圧倒的な舞を見せつける。

登場人物・キャラクター

鬼夜叉 (おにやしゃ)

人気の猿楽一座、観世座の座長、観阿弥の長男。小柄な美少年で、基本ぼーっとしている天然キャラで、のちの「世阿弥」。自分が猿楽一座に生まれたことや、舞、芸能の意味がわからずにいたが、あることがきっかけで、舞の「よさ」を知り、芸能に没頭していく。新熊野神社で大舞台に立ったことをきっかけに、足利義満の目に留まり、将軍邸で修行することになる。歴史上の実在人物、世阿弥をモチーフにしている。

観阿弥 (かんあみ)

鬼夜叉の父で、人気の猿楽一座、観世座の座長。鬼夜叉とは対照的に大柄な体格の男性で、猿楽に真摯に向き合い、自力で一座の人気を押し上げた功労者である。幼少時から鬼夜叉を厳しくしつけ、猿楽の基本を教え込んだ。独自の学びを得た鬼夜叉の舞を見て、新熊野神社奉納猿楽で重要な役に大抜擢した。歴史上の実在人物、観阿弥をモチーフにしている。

書誌情報

ワールド イズ ダンシング 6巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2021-08-23発行、 978-4065245057)

第2巻

(2021-10-21発行、 978-4065251713)

第3巻

(2022-01-21発行、 978-4065265666)

第4巻

(2022-04-21発行、 978-4065274224)

第5巻

(2022-08-23発行、 978-4065288726)

第6巻

(2022-11-22発行、 978-4065298169)

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